フリーレンとヒンメルの間に恋愛感情はあったのか? ヒンメルはフリーレンを好きなのか? -『葬送のフリーレン』(ネタバレあり)

『葬送のフリーレン』は『週刊少年サンデー』で連載中の漫画です。山田鐘人さん原作、アベツカサさん作画で、2023年9月からアニメも放送されています。

最新話(115話)まで読んだので、フリーレンとヒンメルとの関係について書いていきたいと思います。

ヒンメルはフリーレンを好き(恋愛感情を持っている)なのか? フリーレンはどうなのか? 考察していきます。

以下ネタバレがあります。

目次

フリーレンのヒンメルに対する感情

フリーレンはエルフであり、作中でエルフは恋愛感情や生殖本能が欠落した種族であると書かれています。

また、フリーレンは特に感情の起伏も乏しく、ヒンメルからの情熱的なアプローチも無表情で受け流しています。

さらに、ヒンメル(や仲間たち)の前でも「たった10年の冒険」「人間はすぐ死ぬ」などと、突き放すようなことを言ったり、人間の寿命を知りながら、50年間一度も仲間に会いに行かないなど、恋愛感情がないどころではない態度でした。

ヒンメルの葬儀で涙を流すフリーレンでしたが、もちろんそれだけでは恋愛感情があったとは言えず(病床に伏すハイターの前でも泣いていた)、言葉の通り、彼を知ろうとしなかった後悔による涙だと思われます。

ただ、恋愛感情や生殖本能が欠落しているというエルフでも、絶滅はしていないため、単純にフリーレンがまだそこまで精神や肉体が発達していない可能性もあります。人を知ろうともしなかったフリーレンですが、ヒンメルの死からさまざまな経験を経て他者への態度も変わってきています。そのため、後にヒンメルへの恋愛感情に気付くということもあり得ます。

しかし、もし今後フリーレンがヒンメルへの恋愛感情に気付いたとしても、それは記憶の中のヒンメルに恋心を抱いたというだけなので、やはりフリーレンからヒンメルへの恋愛感情はないと言っていいかと思います。

追記※最新話では、フリーレンがタイムリープしてヒンメル含めた昔のパーティと行動を共にしています。タイムリープの存在があるとすれば、フリーレンからヒンメルへの感情の変化や気付きもあるかもしれません。

ヒンメルのフリーレンに対する感情

考察① ヒンメルはフリーレンのことを好きだった(恋愛感情があった)

ヒンメルがフリーレンを仲間に誘ったのは、ヒンメルが幼い頃に出会ったフリーレンのことを記憶していたからでした。

遭難して途方に暮れていた幼いヒンメルに、フリーレンはぶっきらぼうに人里のある方向を教えてあげるのですが、そのぶっきらぼうさにヒンメルは不安感を覚えます。それに気付いたフリーレンは花畑を出す魔法を見せ、それがヒンメルの記憶に強く残っていたのでした。

フリーレンは強い魔法使いでしたが、魔力を制限していた(魔力を使いこなす者は相手の魔力を視覚で捉えることができるが、フリーレンは魔族を欺くために常に魔力を制限していた)ため、外見ではその強さがわかりませんでした。長く生きている魔法使いという情報はありましたが、ヒンメルはフリーレンをパーティに誘った理由として、その花畑を出す魔法のことを話しました。

それから冒険中も、たびたびフリーレンに好意を持っている様子を見せます。

たとえば、フリーレンのスカートを捲った子どもを「僕だって見たかったのに!」とすごい形相で追いかけようとしたり、自分の故郷に咲く花である蒼月草を「いつか君に見せてあげたい」と話す顔がいつになく真剣だったり、フリーレンにアクセサリーを買う時、フリーレンが選んだ指輪が偶然にも鏡蓮華(花言葉は久遠の愛情)のデザインだったのを見て切なそうに微笑み、跪いて指に嵌めるシーンもありました。また、ヒンメルの葬儀やその前後の描写からどうやら生涯独身だったことがわかります。

よって、ヒンメルはフリーレンに恋愛感情を持っている可能性はかなり高いかと思われます。

なぜフリーレンに気持ちを伝えなかったのか

フリーレンの回想シーンではよくヒンメルが自分の意見を話すシーンが出てきます。思慮深いヒンメルは、他の人と比べても自分の考えを言語化することが得意だったように見えます。

ではフリーレンに恋愛感情を持っていたとして、なぜヒンメルはそれを伝えなかったのでしょうか。

ヒンメルはフリーレンが未来で1人にならないために自分の像をあちこちに作りました。仲間に対してそっけないフリーレンでしたが、ヒンメルはフリーレンがいつか1人になって寂しい思いをするかもしれないと考えていました。

フリーレンに恋愛感情を告白しても、ただ突っぱねられるだけでしょうが、自分が死んだ時彼女に罪悪感や後悔を負わせてしまうかもしれない。実際ヒンメルは生涯独身(と思われる)だったのですから。そこまで考えたのではないでしょうか。

万が一受け入れられたとしても、あまりに寿命が違いすぎ、フリーレンを苦しめることになると考えたのかもしれません。

考察② ヒンメルのそれは恋愛感情ではなかった

ただ、冒険の50年後に再会した際にフリーレンのことを「大事な仲間」と表現していたり、明確な恋愛感情は描かれていないこと、フリーレンと接触する際も頬染めなどのわかりやすい表情はなかったこと(この物語はフリーレン視点だからそういうものは描かれなかった可能性はある)などから、100%恋愛感情があったとは言えないと思います。

ヒンメルは、人間と比べると永遠に近い時間を生きるエルフ(フリーレンはすでに1000年は生きており、他に登場するエルフはフリーレンよりさらに長く生きていると思われる)であるフリーレンに憐れみを感じたのではないでしょうか。

公式サイトでも困った人を放っておけない性格と書かれているヒンメルは、自分が幼かったころと微塵も変わらない姿で1人生きているフリーレンを見つけ、彼女を連れ出したくなったのかもしれません。そして、冒険に誘ったことで、残される孤独を味わわせてしまうことへの責任感もあったでしょう。

フリーレンといる時の切なそうな表情も、時間軸が周りとは違う彼女を思ってのことかもしれませんね。

そして、ヒンメルの存在により人を知りたいと思うようになったフリーレンは、新たな仲間と冒険に出ることになります。ヒンメルは冒険中たびたび人助けをして、勇者一行のしるしをところどころに残しました。そのためフリーレンはその道を辿る冒険で仲間との思い出を振り返ったり、一行を知る者と再会したり、孤独とは無縁の旅を続けることができました。

作品全体として

『葬送のフリーレン』は恋愛・性愛描写がもともと少ない作品だと思います。

ラッキースケベ的な描写もありますが、それもかなり淡白で、誰も頬染めなどわかりやすい表情をしないところから、そういう点で清潔な作品という印象です。

ただ、恋愛や性愛に理解のないフリーレン視点の物語なので、フリーレンの価値観が変われば作品全体に変化が出てくる可能性もあるかもしれません。

(画像引用:『葬送のフリーレン』1巻 表紙)

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